プロクルステスの寝台

【内容】

プロクルステスはギリシャ神話に登場する盗賊の名前。

彼はエレウシースの丘にあるアジトに通りかかる旅人に声をかけた。

「やすませてやろう」

だが彼にはある奇癖があった。それは彼の持っている鉄のベッドに客が寝た際に、客の背がベッドに足りなければ無理やり身体を引き伸ばし、逆に背が高ければベッドの大きさに合うまで体を切り落とすというものであった。

 

多くの客人を泊めたプロクルステスだったが、ついぞ彼のベッドにぴったりの人間が現れることはなかった。

何故ならばベッドは大きさが調節可能であり、彼は客人がそのベッドに乗る前に密かに大きさを合わないものに変えていたからだと言われている。

 

彼の奇癖を終わらせたのはアテナイの王テセウスで、彼はプロクルステスを返り討ちにして彼をベッドに寝かせはみ出た頭と足を切り落とした。

 

【出典】『ギリシア神話

【関連項目】テセウス

 

【補足】

杓子定規。白黒思考。融通の利かなさなどの象徴的存在。

最初に枠を決めてしまったら、あとはどんな例外が出ることも許さず自身の定めた枠に当てはめていく偏狭な思考の持ち主にプロクルステスと揶揄されることがある。

しかし、実際には人を痛めつけるためにベッドの大きさを可変式にして前もって準備しておくなど柔軟さも合わせもつ極悪人。

どちらかと言えば相手を傷つけるために枠を作り、どんな相手が来ても効果を発揮するような枠を用意する用意周到な悪人こそプロクルステスの名にふさわしいのかもしれない。